口コミをどこまで信じていますか? ―意外にあてにならない評判も

どの病院にかかろうかと迷う時、何を頼りにしますか。家族や知人・友人から評判を聞いてみて選ぶ、という人も多いかと思います。実際、流行っているクリニックの院長先生にお伺いすると「口コミでの評判です」と答えられます。口コミは最強の判断材料となっていると言っても過言ではないでしょう。

 都道府県の開設する医療情報サイトに個別医療機関の情報が、ある程度まで公開されるようになりました。自院のHPに専門分野や提供医療の特徴について詳しく掲載するところも増えてきました。口コミ以外の、あるいは口コミを裏付ける手段が増えたと言えますが、口コミ自体の価値は落ちていないという見方もできます。

ところで口コミは、どこまで信頼できるのでしょうか。病院、特に近くのクリニックにかかって満足できたという場合、治療効果そのものよりも「話を聴いてもらえた」とか「先生が優しくて安心できた」といったことが大きなウエイトを占めています。日常的な病気ならば問題ないのですが、重い病気の可能性がある場合は、口コミの内容を確かめた方が良いかもしれません。優しい=腕が良いというわけではないからです。

世の中には口コミを商売のネタにしている業者もあります。ネットの口コミサイトがありますが、そこに不自然でない形で幾つかの投稿をします、という売り込みをしているのです。まさに口コミを創るというわけです。内容的に嘘がなければ良いのかもしれませんが、違和感があるのは確かです。

「抗生物質を出してくれない」というのは、悪い評判でなく良い評判と理解すべき場合があります。普通の風邪には抗生物質は効かないとされています。口コミの評判の一つひとつについて、その内容を確認する必要があります。まずは複数の人の意見、評価を訊いてみることから始めるべきでしょうか。院長先生のキャリアなどからも分かることがあるはずです 。

医療コンサルタント
(元大阪市立大学大学院特任教授)
松村眞吾