人は様々、病気も百人百様と知るべし
一人として同じ人は居ないと言われます。名前も違えば外見も違うし、考え方も趣味も人それぞれです。いろいろな人が居るから世の中に文化が生まれ、科学が発達し技術が花開きます。ダイバーシティという言葉がよく使われるようになりました。多様性という意味です。同じ色ばかりでは街も企業も学校も、病院でもより良いものになりません。
イレッサという肺がんの薬があります。副作用で亡くなる方が出て問題となりました。特効薬として劇的に効き闘病生活から復活された方も居ます。要するにイレッサには治療効果の高かった方と却って亡くなるに至った方の双方のケースがあったというわけです。
このことは同じ病気であっても患者さんによって治療法が違うということを意味します。「これでがんが消えました」といっても、それが真実であっても、他の患者さんのがんも消えるとは限らないのです。病気も百人百様と知りたいものです。
お医者さんが検査データを見て首を傾げて「どこにも異常がありません」と言われることはよくあります。精神的なものから来ている体の不調は原因がよく分からないケースもあります。西洋医学は症状には原因があるとして治療法を考えます。漢方はこの痛みにはこの薬が効くというように、症状に対応して治療がなされます。医学も様々です。
このように病気とその治療は私たちが思うほどシンプルな関係にはありません。病気も様々なのですから。では、私たちはどうすれば良いのでしょうか。一つはかかりつけのお医者さんを持つということでしょうか。健康履歴から家族のことまで知ってもらっておく。自身でマイカルテ、健康手帳を作っておくのも一つの手です。
知人はイレッサが効きました。喫煙歴が無くホルモンバランスが良かったとか。背景が分かれば治療法もより的確なものとなります。
医療コンサルタント
(元大阪市立大学大学院特任教授)
松村眞吾