かかりつけ医”を持とう  

あなたはかかりつけの先生を持っていますか?
昔は近所の開業医の先生に何でも相談したものです。しかし、現代医学は驚異的な発展を遂げました。専門分化が進んで、病気の種類によっていろいろな専門医療機関にかかるのが普通になりました。専門医ランキング本の類も世に出回っています。医学の発展は頼りになることですが、日々の健康管理にとってはどうなのでしょうか

 心身症という言葉を聞かれたことがあると思います。内科の病気かなと思って内科クリニックにかかっても原因ははっきりしない。心の病気が隠されているかもしれないのです。 ご高齢者には、幾つものクリニック・病院をかけ持ちしている方も多いと思います。診察を受ける時、先生に毎日の生活のことや家族の病歴などをお話しできていますか?

こんな時、かかりつけの先生を持っていることが大切なこととなります。「ご両親の既往歴からすると、あなたも同じ病気かもしれませんね」「あなたの仕事からすると、こういった病気の可能性がありますから、専門の先生に診てもらいましょうか」などと、的確な診断、適切なアドバイスをもらえる確率がぐっと高くなります。短い診察時間であっても、あなたの日常的な健康状態や生活背景、家族の病歴などを知ってもらっていたら、正しい診断、処方・処置、そして適時適確な専門医の紹介を受けられる可能性が高まります。

胃腸の専門、心臓の専門、糖尿病の専門などと臓器別・病気別の専門の先生、内科、外科、メンタルクリニックなど診療科別の専門の先生の存在は、看板やホームページで謳ってあります。しかし臓器別・疾患別ではなく「あなたの専門医」は、あなたご自身で見つけて持つ必要があります。かかりつけの先生は、日常の健康相談から専門の病院紹介まで、あなたを熟知し、あなたの健康の入口をキチンと管理してくれる存在です。

大阪市立大学大学院 経営学研究科の特任教授 松村眞吾