お医者さんとのコミュニケーション -「健康ノート」の勧め
ある調査によれば、患者さんの満足のほとんどは医師とのコミュニケーション次第だということです。先生が病状を良く聴いてくれて、分かりやすく説明してくれたらうれしい、というわけです。病院やクリニックに行くのは、病気を治したいからですが、安心したいという気持ちも大きいでしょう。先生のお話で納得したいということもあります。
医師・患者間のコミュニケーションで何が問題になるのでしょうか。一つは医師側における“決めつけ”であり、一つは難解な専門用語などです。患者側での問題はないでしょうか。先生に聴いてもらいたいというならば、そのために準備することがあると思います。 正直に言って先生方の態度に問題がある場合も多いのですが、患者さんの側にも責任があるというわけです。
「健康ノート」あるいは「マイカルテ」を作ることをお勧めします。今までにかかった病気や気になる体調のこと(例えば頭痛や体重減少)など最近の検診結果などを1冊のノートにまとめるのです。それから今の症状を簡単にメモっておくのも良いでしょう。何時ごろから、どこに異常が出ているか、熱はどうかなど、です。医師は患者さんの話を聴き、どんな病気かを判断して、必要な処置を決め薬を処方します。ですから患者さんが話される時、出来るだけ情報が整理されていて分かりやすいことが必要なのです。「健康ノート」はきっと役に立ちます。
「健康ノート」は先生への情報データベースになるだけではありません。健康の自己管理という面でも活躍します。仕事でこんな無理をした時にセキが出てとまらなくて困ったことがあったな、成るほど、自分は疲れがこんなところに出るのだな、などと日常的な健康管理に活用するのです。自分自身のことを知ること、それが自分の健康を守る第一歩であり、「健康ノート」に記録していくことはそのための手立てなのです。
大阪市立大学大学院 経営学研究科の特任教授 松村眞吾