もしかしたら、私はがん? -「浮気」ではなく紹介を受けよう
人間ドックで「がんの疑いあり、精密検査を受けて下さい」と言われたらどうしますか?「私はがんなのだろうか」と不安になりますね。精密検査の結果が思わしくなかったら深刻です。多くの方々がより良き治療法は無いかと幾つもの病院に行き、いろいろな情報を集めようとします。気持ちは分かります。当然のことでしょう。
がんに限りませんが、重い病気になった時、人々は「この医者の言うことに従って良いのだろうか」と思い、他の病院に「浮気」します。名医を求めて、評判に頼ってさまよう方もいます。ここで少し考えたいのです。
治療法は手術による外科的治療、化学療法での内科的治療、放射線治療などがあり、どういう治療法、あるいはその組合せが良いのか、患者には分かりにくいものです。ちゃんと情報を集め、適切な治療を受けるには、「浮気」より、専門のセカンドオピニオン外来に行くのが適切でしょう。最初の病院から検査データ、治療方針意見をもらって、がん治療に長けた拠点病院(がん拠点病院など)を紹介してもらって行くのです。
大学病院だから治療水準が自動的に高いとは限りません。一般的には高い水準にありますが、細かく見れば、得意分野を持つ専門病院の方が良い場合もあります。私の知人も大学病院からの紹介で、そういった専門病院に転院、満足のいく治療を受けて元気に在宅復帰を果たしています。
ネット時代で治療に関する情報はかなり集められるようになりました。大いに参考としたいものです。ただ最初にかかった先生に悪いから、とネット情報だけを手掛かりに他の病院を当ってみるのはいかがかと思います。医師の意見を聴いた上で、然るべき専門病院を紹介してもらうべきかと思います。自分の体のこと、遠慮は要りません。
医療コンサルタント
(元大阪市立大学大学院特任教授)
松村眞吾