「かかりつけ医」が変わっていきます

かかりつけ医を持ちましょうと書いたことがありました。超の付く高齢化が進む中、かかりつけ医の役割は、いよいよ高まり国も新しい制度をスタートさせました。「主治医機能評価」という名前で全人的医療を行なうかかりつけ医を評価しようというものです。日常的に主治医として、治療から薬の管理、介護保険に至るまで一貫して患者さんを診る先生に新たな報酬を付いたのです。

糖尿病や高血圧の慢性病を中心に「胃腸が専門だから肺の病気は全く診ることはできません」ではなく、全人的な初期対応(プライマリ・ケアと言います)のスキルを身に付けた医師を「総合診療専門医」として認定しようということが決まりました。2017年(平成29年)に研修制度が始まる予定です。目が離せなくなってきました。

軽い病気で大きな病院にかかることが、いっそう難しくなっていきます。大病院は重体の方が専門の治療を受ける場所だからです。だから近所にかかりつけ医を持ちましょう、というだけではありません。かかりつけ医は基本的には一人ですが、グループ化されていく傾向があります。高齢患者が増えて24時間対応が必要になってくるとグループ診療でなければ成り立たないからです。かかりつけ医=開業医の先生という単純化された図式は変わってくるかもしれません。

「地域包括ケア」という言葉をお聞きになった方もあるでしょう。大ざっぱに言えば、ケアサービスの整った地域コミュニティを作ろうという構想です。その中で、主治医=かかりつけ医が中心の一つになってきます。制度が整えられていけば、どうすれば自分のかかりつけ医が見つかるか、も分かりやすくなっていくでしょう。  新しい専門医制度、グループ化の流れなどを見ていきましょう。主治医=かかりつけ医は大きな進化を遂げていくと予想されます。

医療コンサルタント
(元大阪市立大学大学院特任教授)
松村眞吾