医療と介護をつなぐ地域包括ケアシステムを成功させるためには

地域で主治医(かかりつけ医)から入院、在宅復帰しての療養を統合的にサービス提供する仕組みを作っていこうとしています。 医療介護の統合的なサービス提供と言っても、例えば24時間対応は大変なことです。やはり地域で療養生活を支える互助(助け合い)の仕組みも考えていかなければなりません。

医療や福祉というと、サービスを受ける側に立って考えがちではないでしょうか。もちろんボランティアとして福祉施設などで活動しておられる方も多くいます。ここで考えたいのは、もっと日常的に病気の方や高齢者、障がい者の方々を支える側に回れないかということです。

ロータリークラブやライオンズクラブといった奉仕団体がありますが、高齢化で力は衰えてきています。お寺や教会の活動も一部の人々に限られたものとなっているようです。

商工会議所・商工会に入っている企業の関係者、地域の自治会の住民、PTA関係者などでも良いと思いますが、地域の様々な団体の仲間と共に、医療や福祉の関係者と協力することも考えてみてはどうでしょうか。

ムラ社会が嫌だから都市に住んでいるという意見もあるでしょう。今さら自治会活動の負担なんか負いたくないという意識もあると思います。しかし、高齢化は、これから一層、進んでいきます。元気で社会参加することができれば、高齢になっても健康で生活できるものです。医療や介護、福祉というのは街づくりと一体のものなのです。

少子化が問題となっています。子供と高齢者が交流しあう街づくりはファミリー層にとっても嬉しいこと。支える側に回ることもこれからは考える必要があるかもしれません。

地域包括ケアシステムの一つの狙いがそこにもあります。家族だけでは支えきれないことは明らかです。地域住民の参加が重要となってくるでしょう。

医療コンサルタント
(元大阪市立大学大学院特任教授)
松村眞吾