在宅での療養は不安です‥ -「在宅療養支援診療所」をご存知ですか?

入院といえば昔は1ヶ月も2ヶ月も病院に入ったままだったものですが、最近では「治療は終わりましたから早く退院してください」と言われて途方に暮れる患者・家族もいらっしゃいます。リハビリ病院や老人ホームなどの施設に移れれば良いですが、自宅に帰って療養するとなるとどうでしょう。

在宅での療養。元の自宅でなく高齢者住宅などに入居してのケースもありますが、ナースコールもない、先生がすぐに飛んで来てくれない、そんな在宅での療養が不安だというのは自然な思いです。でも家が一番、というのは誰しもが思うこと。気持ちが落ち着くのは、生活する場で過ごすからです。ホッとする場所での療養。安心できる仕組みがあれば良いのにな、とお思いになるでしょう。

「在宅療養支援診療所」をご存知でしょうか。名前はお聞きになった方も多いと思います。要するに先生が定期的の訪問してくれて、24時間対応の体制が整っている診療所(クリニック)のことです。夜間に容態が急変した時も訪問看護師に連絡すれば適切な対応をしてくれます。必要な場合は先生が飛んで来ます。緊急入院先の提携病院もあります。

最近はクリニックも増えて競争が激しくなってきました。そのせいもあるのでしょうか。大阪府下などでは在宅医療を手掛けようと、多くのところが在宅療養支援診療所の届出を行なっています。その数は1,000院以上です。もちろん積極的なクリニック、一応、名乗りだけ挙げておこうかという開業医とさまざまですが、安心して在宅療養できる体制をサポートしようという先生が増えて来ているのは確かです。

入院した病院にある地域連携室に相談したり、先の紹介したワムネットなどで検索して問い合わせてみたりしてはいかがでしょう。在宅での療養をサポートする仕組みはパーフェクトではないかもしれません。それでも在宅療養支援診療所の存在は助けになるはずです。諦めずに調べることから始めてみませんか。

大阪市立大学大学院 経営学研究科の特任教授 松村眞吾