なぜお医者さんは忙しいのか? 大病院にかかると初診7,000円とられるわけ

コロナ禍が2年余りも続いて医療界も大変なことになっていますが、実はもう一つの大きな変化が起こっています。医療費は診療報酬というものが2年毎に改定されるのですが、今年4月の改定に病医院関係者は身構えているのです。

大病院、大学病院などに診てもらおうと受付に行くと「紹介状はありますか」と問われることが一般的になりました。選定療養費という名目で、例えば紹介状のない初診は5,000円をプラスして徴収されますが、この4月からは7,000円に上がることが決まりました。納得できないかもしれません。大きな病院で診てもらいたい事情というものがある、と言いたいかもしれません。

 実は病院のお医者さんの働き過ぎが問題となっています。夜勤してそのまま通常の診療に対応する、などといったことが当たり前のようにありました。さすがにこれは問題だと、2024年から時間外労働の規制が始まります。外来診療で疲れ切って、昼食も食べずに入院患者さんを診て回る。これで良い医療を提供できるだろうか、というわけです。専門を生かした診療に集中してもらう必要がある、という方向に国も動いています。

今回の診療報酬(医療費)改定で何が注目されているのでしょうか。大胆にまとめてしまえば「専門医療を提供する大病院と『かかりつけ』医を担う地域の病院、クリニックの役割分担を進めて下さい」ということになります。大病院が信頼できると押し掛けるのは、コロナで問題となっている医療ひっ迫を促進しかねません。かかりつけのお医者さんも、ただ患者さんが来てくれれば良いというわけではありません。日頃から、その患者さんの持病のこと、体調のこと、家族のことなどを知っておきたいと考えます。前もって患者さんの情報があれば的確な診察ができる。当たり前のことではないでしょうか。

かかりつけ医を持って、日常的に診てもらい、体調の変化があれば相談にも乗ってもらう。自分のことをよく知ったかかりつけ医を持ち、専門的な診療が必要になったら、適当な病院を紹介してもらう。私たちは、医療サービスを受けるについて、そういったことを、改めて考えなければなりません。高齢化が進みますが、歳を重ねると、複数の病気を持つ、なかなか治らないといった状態になり勝ちです。診察するお医者さんも大変です。若者なら単純な病気が高齢者だと多くの情報が必要になるからです。

そういったことを理解して病院に、クリニックにかかりませんか。

 

医療コンサルタント
(元大阪市立大学大学院特任教授)
松村眞吾